回転と摩擦とAWD
滑りやすい登り坂や下り坂やカーブなどでフルタイム四駆がスタンバイ四駆より強い理由として、駆動力とトラクションの分散とそれによる限界の高さ、というのは1つにあります。そのためにタイヤの回転数を上げられるので強いというのは、ある程度正しいのですが、それだけではありません。
もう1つ重要なのはタイヤと路面の摩擦力の関係です。これには面積と静止摩擦/滑り摩擦の2つがあります。タイヤと路面が摩擦する面積が大きい方が、よりグリップして路面を掴めます。そして静止摩擦つまりグリップしている時は摩擦力は大きいですが、滑り摩擦つまりスリップしている時は急激に摩擦力は下がります。
それでフルタイム四駆は四輪のタイヤの面積を使えますからクルマの駆動するための摩擦力は大きくなります。そしてグリップしている時に四輪で路面を掴みますからクルマの摩擦力は大きくなります。スタンバイ四駆は二輪のタイヤの面積しか使えませんから摩擦力は小さくなります。そして前輪がスリップした時に後輪を駆動しますからやはり摩擦力は小さくなります。このためクルマのタイヤが使える全体の摩擦力が小さくなるので滑る路面の坂道やカーブで弱くなります。
またフルタイム四駆は後輪も摩擦していますが、スタンバイ四駆は後輪は抵抗になってしまいます。このようにフルタイム四駆が駆動力とトラクションの点で有利な理由としてタイヤの回転数だけでなく使える摩擦力というものが大きいということが最大の理由です。